WiMAX vs. LTE@Interop Tokyo 2010


 Interop Tokyoで受講した有料コンファレンスのレポートを載せてみる。
 興味ない人はスルーしてください。



■■■Interop Tokyo 2010 有料コンファレンス
 「WBBのサービス潜在力を探る:
 いよいよ始まるWiMAX vs. LTEとユースケース」■■■

 プレゼンターは3名で、UQコミュニケーションズ、NTTドコモ、日本通信からそれぞれ1名ずつ。
 MCはKDDIの方。

 日本通信からは東京大学卒業、ダートマス大学経営大学院(MBA)修了、元アップルコンピュータ米国本社副社長、現在は日本通信の常務取締役CMO兼CFOというすごい方。  この方を始め、業界をリードする方々からのプレゼン。



■■前置き(司会:KDDI)
 3G携帯の急速な普及が進む昨今、モバイル環境の充実化が求められる。
 スマートフォンに代表される現状からも分かる通り、ニーズや世間の関心は高い。



■■講師:UQコミュニケーションズ
1. WBB(Wireless BroadBand)とは何か?
・電話サービスの流れ
 固定電話サービス:誰でも使えるサービス
    ↓
 携帯電話サービス:いつでも、どこでも使えるサービス

・ブロードバンドの流れ
 固定BBサービス(FTTH / ADSL):誰でも使えるサービス
    ↓
 WBBサービス(WiMAX / LTE網):いつでも、どこでも使えるサービス

・WBBとは、ざっくりいってしまえば、インターネットのモバイル化。
 ただし、厳密にはインターネットに限られるものではない。

・WBBとは、いつでも、どこでも、誰でも、あらゆるものがネットワークにつながり、より豊かな社会を実現するための社会インフラ / サービス
    ↓
 真のユビキタス社会実現のためのサービス

・ちなみに、UQコミュニケーションズの「UQ」は「ユビキタス」とかかっている

2.WiMAX vs. LTE
・そもそも何が違うの?
WiMAX:
 無線方式:OFDMA
 標準化団体:IEEE WiMAX Forum
 実用化時期:2008年〜

LTE:
 無線方式:OFDMA(上りはSC-FDMA)
 標準化団体:3GPP
 実用化時期:2010年〜

   ↓

 ユーザ視点での技術的な大きな差はなし

・どちらが高速(大容量)?
理論値:
 WiMAX→下り:40Mbps、上り:10Mbps
 LTE→下り:326.4Mbps、上り:86.4Mbps

 数値だけ見たら、圧倒的にLTEが優位。
 講師から「WiMAX終わったね、なんていう声もありますが……」という自虐的な発言が飛び出す。

 ただし、docomoのHPによると、LTEは、
  下りピーク時:37.5Mbps、上りピーク時:12.5Mbps
  一部の地域では、下りピーク時:75Mbps、上りピーク時:25Mbps
 と説明されている

・速度は何で決まるの?(理論値)
 無線方式が同じなら、以下の3つ
  周波数帯域幅
  MIMOタイプ
  変調方式

・UQ WiMAX vs. docomo LTE
UQ WiMAX
 無線方式:OFDMA
 周波数帯域幅:TDD:10MHz
 変調方式(最大):DL:64QAM5/6、UL:16QAM3/4
 MIMO:2x2
 最大速度:DL:40Mbps、UL:10Mbps

docomo LTE
 無線方式:OFDMA
 周波数帯域幅:TDD:2x5MHz
 変調方式(最大):DL:64QAM5/6、UL:16QAM3/4
 MIMO:2x2
 最大速度:DL:37.5Mbps、UL:12.5Mbps

  ↓

 現段階では、大きな差はなし

・速度は何で決まるのか?(実利用環境)
 理論値に大きな差がなければ、以下が挙げられる
  基地局からの距離
  同時利用ユーザ数
  端末性能
  Backbone NW容量

・世界的な広がり
 主要先進国では次期システムとして、LTEの流れ。
 ただし、世界的に携帯データの主流は2.5GのEDGE / GRPS、あるいは3.5GのHSDPA。
 世界的に3.9GのLTEが広まるまでには、まだ時間を要すると思われる。

 また、インド、ブラジル、マレーシアといった新興国ではWiMAXの流れで、世界148カ国で導入が進行中。

・結局、どちらが優位なのか?
→仕様上の大きな差はないといえる

・現状のUQ WiMAXの優位性
- 高速利用可能エリアの整備
- 実際の運用実績・ノウハウ
- 低価格なサービス

・WiMAX 次のステップ
 次期バージョンとしてIEEE802.16m / WiMAX2の標準化が推進中で、2010年に完了予定

  最大伝送速度:下り:330Mbps、上り:112Mbps
  (TDD:2x20MHz / 4x4MIMO)
  移動速度:350km/h超

 走行中の新幹線内でも使える

3. 広がるWiMAXユースケース
・PC → モバイルPCのスタンダード
・データ通信カード、モバイルWi-Fiルータ、スマートフォンなど
 → PC以外のWi-Fiデバイスでの利用拡大
・デジタルサイネージでの利用が本格化
・移動空間でのロケーションベースのデジタルサイネージ実験も実施
・JRのPOSレジ
・通信インフラ
 Ex)アメリカではGEがパイロットプログラムに採用

■聴講者からの質問
Q. 地域ごとにデジタルサイネージの実験をしたそうだが、成功率は?
A. 小規模な実験だが、その中では成功率は100%だった。
 まだ東京全土で使用した場合は分からず、更に詰めていく必要がある。



■■講師:NTTドコモ
・時間軸から見ると
2004
- 3G開始 → 当時は成功ではなかった
- docomoがLTEをいくつかのベンダに打診 → 感触が悪かった

2005〜2006
- WiMAXが出てきた → 当初は一般的な知名度ではなかった

2006
- WiMAXに携帯電話を持っていかれると危機感を覚えたベンダがLTEに前向きに

 こういった経緯から、docomoもWiMAXに助けられた面がある

・LTEとWiMAXは設計思想が大きく異なる
 LTE:携帯電話ありきで始まった
 WiMAX:携帯電話ありきではない
   ↓
 携帯電話にはLTEの方が適している

・LTEは上りと下りで違う無線方式を使用
 下り:OFDMA
 上り:SC-FDMA

・一般に、後から出てくるものの方が技術力が高い
 →WiMAXより2年遅いLTEの方が技術力に優れる

・遅延に強いLTEを活かした試み
 Ex)本人の声で自動翻訳しながら通話
 Ex)検索結果をカメラ画像に合わせて表示させることにより、周囲に何があるのか直感的に把握できる

・LTEは一気に全国エリアに展開しなくてもOK。
 費用対効果を見ながら展開。
 既存3Gエリアにオーバーレイする形をとる。

・LTEは世界的に実績がなかったために疑われていたが、2009年12月14日に北欧のテリアソネラが世界初のサービスを開始

・docomoは世界のトップ集団としてのリリース時期を描いている

■聴講者からの質問
Q. LTEでも10MHzをやるのか?
A. やる。地方と都市部で違う。都市部の方が速い。

Q. 料金体制はLTEありきになるのか?
A. この場ではいえない

Q. 今まで日本のモバイルは垂直統合モデルと呼ばれてきた中で、スマートフォンやLTEの流れでユーザやプレイヤーが裾野を広げていく環境ができ上がり、docomoもそういったことから、LTEによって世界的に見たメリットやバックを得るのか?
A. コンサル事業もやっていないわけではないが、メインではない



■■講師:日本通信
・周波数は有限な資源
 → 周波数当たりの帯域を増加させる技術が求められる

・WBB無線の広帯域化
 → 固定網並の高速性
 → 現行型モバイル網の低コスト化

----------------------------------------------→
2G(テキスト、音声) | 3G(写真、動画) | 3.9G、4G〜(HD動画)

 Q. これ以上、高速化してどうするの?
 A. 大事なのはuser experienceの向上
 Ex)google mapを家と携帯電話で使ったときで、快適さがまるで違う

・user experienceの刷新
- デバイスとクラウドの連携
- パッチ型通信

・市場の変化
 携帯電話:マス市場
 WBB:ニッチ市場の集合体
  → 顧客ニーズ、サービス、デバイスの多様性
  → 色んなところが動いていく必要がある
  → サービスの競争
  → 社会資本として適正数の設備

・WiMAXとLTE
 WiMAX:コンピュータ業界
 LTE:携帯電話業界
    ↓
 技術は似ているが、業界が違う

・業界の対決の中で気になること
- 端末のコスト
- ビジネスは成長できるのか

■聴講者からの質問
Q. MVNOの今後の広がりに関する展望と、その際に障壁になりうることは?
A. 今後、MVNOを取り入れた端末は出てくるであろう。
 ハードウェアを含めたものだとリードタイムが長くなる。
 アンドロイド携帯もその一例。
 水面下では広がっている。
 障壁としては、例えば、こんなことをしてdocomoさんに怒られないだろうか、といった思い込みがある。
 実際はそんなことはないのだが。



■全体に対する聴講者からの質問
Q. 設備投資に対して収入が伸びない。
 それに対して、トラフィックは伸びる一方。
 この現状をどうお考えか?
A. (NTTドコモ)
 おっしゃる通りで悩みの種だが、値上げなどについてはいえない
A. (日本通信)
 定額制で1ユーザが大量のトラフィックを使用すると、使用していない他のユーザに対して、ひどく不公平になってしまう。
 技術進化で1ユーザがどんどんトラフィックを使用できる状況になっており、ゆゆしき問題。



■■所感
・UQはdocomoに劣等意識も持ちつつも、自分をアピールしていた
・docomoはUQに気を遣いつつも、絶対的な自信が根底に見えた
・日本通信の方は話がさすがだった
・全体的に興味深く、面白い話を聞けた
・WiMAXとLTEは、ユーザから見たら使い方に違いはなく、単純に速度の問題
・WiMAXとLTEの優劣は以下の印象
  現状:WiMAX ≒ LTE
 将来性:WiMAX << LTE
・WiMAX=コンピュータ業界 vs. LTE=携帯電話業界 という構図が明確であるため、どちらが普及していくかにより、業界全体にインパクトを与えると思われる。
・スマートフォンに代表される現状のように、ユーザやプレイヤー側からもアクションを起こせる状況が広がっている。
 LTEのリリースにより、サービス競争が更に激しさを増すと考えられる。
・あとは、WiMAX2がどれほどの性能なのかは気になるところ