我が人生の友、永遠のライバル




 我が人生の友、永遠のライバル。
 そう呼べるのが、喘息君です。
 とてもヤンチャ坊主で、困ったちゃんです。

 彼と初めて知り合ったのは、4歳。
 その頃はまだ仲良くなく、ほとんど記憶にありません。

 喘息君と急激に仲良くなった頃のことは忘れもしません。
 小学5年生の4月です。
 新学期が始まってすぐに、急に遊びに来るようになったのです。
 彼の激しいプロレスごっこに、大変苦しめられました。
 4月は半分も学校へ行けず、入退院を繰り返す毎日でした。

 喘息君はオレの家にはよく遊びに来るのに、病院ではおとなしくしています。
 医者が怖いんでしょうかね、聞いても答えてくれません。

 退院して家へ帰ったとたん、待っていたかのように喘息君は押しかけてきます。
 たまったもんじゃありません。
 「帰れ!」
 と言って帰るたまではなく、すぐノック・アウトされ、病院送りです。
 この2ヶ月で、4回も入院しました。

 かつてこんな友達がいたことはありません。
 そう、喘息君は衝撃的な奴でした。

 喘息君があまりに手強いものだから、両親は留年を考えたそうです。
 しかし、そこは小学5年生。
 勉強は難しくありません。
 病院で多少は教科書を読めば、ブランクがあっても大して辛くないです。

 喘息君が来ないよう、毎日薬を飲む生活が始まりました。
 これが長い戦いの幕開けでした。

 喘息君は風の子なので、低気圧や季節の変わり目が大好きです。
 そのため、いつ来るかは大体決まっている時期があります。
 まず、春になる4月。
 寒くなる12月から1月。
 秋も多いです。
 それと、台風なんかは大好きです。
 大体は、台風が来るちょっと前に大騒ぎし、実際に来てる頃にはけっこーおとなしくなっています。
 祭りの最中より、準備の方が好きってやつですね。

 風の強い日は、喘息君が元気です。
 小学6年生のマラソン大会がまさにそうで、完走させまいと序盤から攻めてきて、中盤でやられました。
 そのまま病院送りです。
 家からおかんがコールされました。

 しかし、こっちだってやられっぱなしじゃしゃくです。
 年齢が上がるにつれ、対応の仕方が分かってきました。
 加えて、段々と体も強くなってきました。

 中学1、2年生の時はよく部活中に喘息君に誘われ、練習になりませんでした。
 喘息君を無理に断って練習に出ると、チームメイトや顧問まで彼の味方をします。
 大好きな部活を取り上げられた期間は、トータルではとても長かったです。
 一番ひどかったのは、中学2年生の夏休みの富士登山。
 帰ってきたとたん、喘息君のお祭りが始まり、夏休みはずっと病院で過ごしました。
 家に帰ってからもドクターストップで、運動は散歩程度とまで言われ、体育の授業にも出られませんでした。

 これって、先輩も引退して部活の中心になって、一番伸びる時期じゃないですか。
 喘息君にはめられました。
 久々に部活に出ると、別世界になっていました。
 もう、友達は喘息君しかいません……って、んなことはなかったけど。
 まぁ、辛かったです。

 中学の部活を引退すると、喘息君はあまり遊びに来なくなりました。

 高校では、1度も入院することなく済みました。
 代わりに、喘息君以上の、かつてない強敵と戦うことになりましたが。
 あれは、勝利を収めた後もダメージがかなりひどく、後々まで響きました。
 その話は別のコラム参照。

 大学1年の2月、ついに喘息君対策の薬を毎日飲む必要がなくなりました。
 長かったです。
 今は一人暮らしのアパートで、喘息君が遊びに来ることはめったにありませんが、実家はやっぱり好きらしいので、たまに飲みます。

 近年になって分かったのですが、喘息君が実家を好きなのは、ネコがいるからのようです。
 オレは大のネコ好きで、ネコを見ているとたまらなく幸せになるのですが、体はネコアレルギーです。
 思えば、小学4年生からネコを飼い始めました。
 その頃は、喘息君とネコが関係していることには気づかず、自分がネコアレルギーという自覚もなかったです。
 今はネコのいない暮らしをしているため、喘息君とはあまり縁がないです。

 しかし、ネコを飼っていたことを後悔した日は、1度としてありません。
 今飼っているのは2代目ですが、初代にはお世話になりました。
 初代がこの世を去った日はめちゃくちゃ泣きました。
 いいネコでした。
 本当にありがとうです。

 現在は3匹もいて、大変賑やかです。
 たまに帰るのが、とても楽しみです。

 体が慣れたのか、たまに実家へ帰っても、ちゃんと薬さえ飲めば、喘息君は来ません。

 喘息君には本当に悩まされましたが、彼のために成長できた面も大きいです。
 今後も彼との思い出は忘れないだろうし、むしろ増えていくでしょう。
 喘息君、ありがとう。
 もう来なくていいよ。