模倣犯


 宮部みゆきさんの原作は高校3年生から大学1年生にかけて読んだ。
 人間の闇を詳細に描いた、救いのない話だった。
 前にも日記に書いた通り、親父はオレが宮部みゆきさんにはまるきっかけを作った人だが、この小説で宮部さんを嫌いになった。
 人によって好き嫌いが別れる小説なんだろう。

 オレは嫌いじゃない。
 読んでいるときは夢中になったが、読後感は悪い。
 更に時間がたつと、強い印象が残っている。
 とりあえず、宮部みゆきさんは凄い人だと思った。

 知っている限り、映画は観たというほとんど全員から評判が悪い。
 褒めている人を聞いたことがない。
 特に、原作ファンには酷評されている。



 で、映画を観て。

 なんつーか……。
 正直、面白い映画ではない。
 なんだか、失敗してしまった映画に思えた。

 森田芳光監督って、難しい映画が好きなんよね。
『黒い家』はサイコホラーだけど、ただ怖いだけの映画ではなく、社会の闇を描いている。

 おそらく、森田さんは、原作に深く感じるところがあり、それを映画で表現したかったのだろう。
 映画には原作を越えた解釈が多々あった。

 森田さんが伝えたかった社会や人間、そこに存在する悪意というものは、全部ではないものの、なんとなくは分かった。
 そこまで原作を曲解しているとは思わない。
 ただ、2時間という枠に収めるには無理があった。

『模倣犯』というストーリーを映画にするのは、至難の業だ。
『セカチュー』や『いあまい』とはわけが違う。
 あんなに深くて広い話を2時間いう枠に収め、原作を全く知らない人にメッセージを伝えるには、相当の技量を要される。
 この映画は、それに失敗したように感じた。

 だから、試み自体はそれほど悪くなかったと思う。
 ただ、映画としてはつまらない。

 原作を読んでいないとなんのこっちゃか分からないし、原作ファンはギャップに落胆する。
 原作を事前に読んでいて、なおかつ映画に先入観を持ち込まない人でないと、なかなか受け入れてもらえないだろう。



 面白くはなかったけど、観なきゃよかったとは思わない。
 映画というのは、世間で酷評されようと、実際に自分の目で観ないと分からないものだな。