ぐるりのこと。


 よく知らないままタイトルで選んでみた。

 初っ端は夫婦の微妙な話題で始まる。
 カップルで観ていたら、苦笑いしそうな。
 それでも、会話がシュールに面白い。

 ほんで、奥様がうつになり。
 切ない描写が続く。

 旦那がやっている法廷画家。
 この仕事って今まで考えたことがなかったけど、ハンパなくストレス性の高い仕事だな……。
 社会の上では大事な仕事だけど、描く方はなぁ……。

 奥様のうつがどんどんひどくなり。
 ほんで、あるシーンからは号泣しながら観ていた。
 昨年、『ツレがうつになりまして。』を観たけど、『ぐるりのこと。』の方が真に迫っている。
 重いけど、気持ちが痛いほど分かる。
 これは涙なしには観られんわ……。

 うつは本当にシビアな病気だけど、家族の理解で立ち直れるんだと。

 自分は結婚したことがないけど、おそらく、愛する人と一緒になるというのは、こういうことなんだと思う。
 一緒になれば、楽しいことだけではない。
 うまくいかないこともあれば、大きな壁にもぶつかる。
 そんなときこそ、本当の意味で、夫婦の絆が試されるのでは。

「もっとうまくやりたかったのに……」
「考えすぎなんだよ。
 みんなに好かれなくていいじゃないの。
 嫌いな人に嫌われたって、好きな人にその分、好きになってもらったら、そっちの方がいいじゃない
」

 このシーンはヤバい……。
 思い出すだけで泣きそうになる。

 非常に重い内容だったけど、最後は救われた。

 奥様を演じた木村多江さん、旦那を演じたリリー・フランキーさん。
 この二人はハンパないな。
 演じたって感じじゃない。
 映画を観ている限りだと、素でこーゆー人にしか見えないもん。

 社会へのメッセージ性もすごいものがある。
 オウム事件、池田小学校児童殺傷事件が元ネタの裁判とか。
「ぐるりのこと」とは、「人間の周りに起きること」という意味。
 夫婦の絆だけではなく、この法廷画家の目から、人間とは……というものを考えされられる。
 決して、きれいごとだけではない世界だ。

 ぜひ、世代を問わず、多くの人に観てほしい映画。