THE INTERNATIONAL(ザ・バンク 堕ちた巨像)


 事前に情報はあまり入れてなかったが、現在の金融恐慌の前に作ったのに、それを予言していたとしか思えない内容と聞いて興味を持ったのでチョイス。

 期待とは違ったが、予想外に面白かった。

 とりあえず、現在の金融危機にまつわる話ではない。
 一昨年8月のパリバ・ショックからのサブプライム問題、その後のベアスタ、フレディマック、ファニィメイ、メリルリンチ、リーマン、AIGなどとは全くの無関係。
 この映画、誤解を与える宣伝をしているので要注意。

 ところが、内容は面白かった。
 シリアスで、緊迫感溢れるサスペンス。
 その上、事前情報を入れていなかったので、激しいアクションシーンが始まったときは軽くびっくりした。
 あんな宣伝じゃなくて、ちゃんと本格サスペンスっていうことで売り出せばよかったのに……。
 原題は『THE INTERNATIONAL』なのに、『ザ・バンク 堕ちた巨像』という邦題からして間違っている。
 あの宣伝は映画に失礼。

 国際的なメガバンクが兵器資金をコントロールし、各国の組織や大企業も相まって悪行三昧。
 第三世界の紛争を支配し、借金を支配し、全てを支配する。
 この巨悪に立ち向かうインターポールのクライヴ・オーウェンさん、検事局のナオミ・ワッツさんという話。

 アメリカがどれだけ発展途上国に兵器を売っているんだって考えると、扱っている題材はさほど現実離れしていないと思う。
 しかし、ストーリー上では突っ込みどころは数え切れない。
 車が突っ込んできて、死んでもおかしくないほどの跳ねられ方をした女性がフッツーにピンピンしていたり。
 巨悪メガバンクのボスが不用意に一人になったり。
 ヒットマンがターゲットの暗殺よりも自らの命を優先したり。
 正体を隠しているヒットマンが健常者ではないので目立ってしまったり。

 しかし、突っ込みどころを気にしなければ楽しめる。
 サスペンスとしてはがんばっている方でしょう。
 舞台もドイツ、イタリア、フランス、アメリカ、トルコと駆け回り、金もかかっている。
 展開は早いので、観客は休む暇がない。
 そして、緊張感のあるサスペンスが続く中、突然の激しいアクションシーンで刺激のある気分転換になる。
 あのタイミングであのシーンを持ってきたのはうまい。
 そして、敵が巨大すぎて、主人公のクライヴさんが本当にいつ死んでもおかしくないように見え、そこもまた緊張感を高めてくれる。
 明らかに主人公は死なない映画ってあるが、これはそんな安心感はなかった。

 ただ、クライヴ・オーウェンさんは正義感がいきすぎて、人間味が薄れた。
 あれだけの目に遭って1度も心が折れず、なぜあそこまでできるのか。
 ストーリーがけっこー詰め込みで駆け足だったから仕方ないのかもしれないが、クライヴさんの人間味を感じる要素がもっとあればよかった。
 とはいえ、かっこよかった。
 これが現代版の勧善懲悪の姿かもしれない。
 いや、懲悪しきれてないけど。

 ナオミ・ワッツさんはキレイだった。
 なんてたくましい女性なんだ。
 自分一人が犠牲になれば世界は救われるのに、「守って!」一辺倒だった『エンド・オブ・デイズ』のヒロインとはえらい違い。

 金融恐慌とは無関係の内容だったため、期待とは違ったが、十分に楽しめた。
 自分的には昨年の『インディ・ジョーンズ』よりよかったぞぃ。