THE KING'S SPEECH(英国王のスピーチ)


 タイトルで想像がつく通り、映画の最大の見せ場は、ラストのスピーチ。
 そんなんで盛り上がるの? と思う人もいるかもしれない。
 そこに至る過程を観ていれば、本当にドキドキしながら、このスピーチに注目することになる。
 皆さんはかつて、スピーチを観て、泣いた映画があるだろうか。
 オレはこれが初めて。

 王室ものなので、堅い映画なのかな〜と思っていたら、コミカルとシリアスがうまく融和された内容だった。
 製作側が極力、軽く描こうとしたのがよく分かる。

 ジョージ6世という実在する英国王を、これでもかってぐらい、人間的に描いている。
 この着想も素晴らしい。
 コリン・ファースさん、お見事です。

 もう一人の主役は、王の吃音癖を直すために選ばれた、ジェフリー・ラッシュさん演じる言語矯正の専門家。
 とても温かで有能でありながら、決して完璧ではなく、こちらも人間的に描かれていた。

 この主役二人のやり取りが、なんとも微笑ましい。
「がんばれー」って素直に応援したくなる。

 英国王の妻のエリザベスを演じるヘレナ・ボナム・カーターさんも、よき妻を上手に演じていた。
 観ていて非常に気持ちがいい。

 自分に自信がなく、次男だから、本来は王になるはずもなかった。
 5歳からの吃音癖は、一生、治らないと思っていた。
 そんな男が、言語矯正の専門家に出会い、初めての友人ができた。

 型破りな治療で、英国王が叫ぶ。
「くそくそくそー」
「ばっきゃろー、このヤロー」
 笑ってしまうわ。

 そして、戦争に向かう国民を奮い立たせる、最後のスピーチ。

 オスカー作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞を獲得したのはダテじゃない。
 自信を持って人にオススメできる傑作だった。