地下街の雨 / 宮部みゆき




 短編集だ。
 高校生のときに宮部みゆきにはまっていて、英語グラマーの先生も宮部みゆきが好きで、オススメされたのがこの一冊だった。
 だけど、当時は表題作の『地下街の雨』以外はあまり面白いと思わなかった。

 怪談っぽい話や、ちょっと変わった話、変わった書き方の話があり、宮部さんにしては珍しい方の本だと思う。

『地下街の雨』は短編として素晴らしいできだった。
 高校生のときもこれだけは面白いと思ったが、改めて読んでみて、ここまでいいと思うとは。
 最初の一文から最後の一文まで、よく作られている。

『決して見えない』は怪談っぽい。
 大体の内容は知っていたからあれだけど、今の歳で初めて読んでいたら、読み終わったときにぞくっときたかも。

『不文律』は書き方が新しい。
 これもちょっと怪談っぽい。
 実は切ない話だ。

『混線』も怪談だ。
 印象が後引く作品だった。

『勝ち逃げ』は、内容としてはストレートだ。
 小さなことから膨らませて書いたんじゃないかと想像する。
 作者の技術で書いた話のように思えた。
 年を取ってから読むと味わい深くなる話かもしれない。

『ムクロバラ』も怪談っぽい。
 特に、最後が。
 話の流れ的にあれで終わるのはどうかと思う読者もいそうだが、オレ的には可だ。
 最終的につながらない色んな要素も、読んでいる最中にリアルな想像を楽しんだと思えば。

『さよなら、キリハラさん』は怪談ではないが、変わったストーリーだ。
 けっこー面白かった。
 ラストはなんなんだろね。

 高校生のときに読んだ感想とは随分変わった。
 表題作もここまでいいとは思わなかったし、『不文律』はちーっとも面白いと思わなかった。
 時の流れと共に趣向や読み方も変わるものだね。