コインロッカー・ベイビーズ / 村上龍
2004年の3月の後半に読み始め、7月の頭に読み終わった。
他の文庫と比べても文字が小さく、上下巻の文庫で計500ページ以上だ。
それも、改行をほとんどせずに書かれることもよくあって、1ページが一つのスペースもなく埋め尽くされることもある。
また、文体が固く、かなり特殊で、内容も重い。
そんなわけで読みづらいということはあったが、それにしても時間がかかってしまった。
なんというか、読むのに体力がいる小説だった。
『世界の中心で、愛をさけぶ』とか、『いま、会いにゆきます』などだったら、ちょっとした休憩感覚で軽く読めてしまう。
ストーリーは一言じゃ語れない。
深い。
生まれたばかりでコインロッカーに捨てられたキクとハシ。
彼らの心に渦巻く愛と憎悪、破壊の意思。
……と言ってみても、なんのことか、読まないとさっぱり分からないだろう。
感想。
面白い。
賛否があるだろう。
表現もストーリーも作風も過激だ。
性描写、暴力描写は頻繁に出てくる。
人を明るい気持ちにさせる本ではない。
どちらかといったら、描かれているのはタブーとされている部類のことであろう。
しかし、面白い。
よくもここまで人の闇を描けるもんだ。
解説に、この本の主題は「自閉と破壊」とあった。
確かに、破壊的なことが大きく描かれている。
明らかなフィクションだが、人間にある破壊衝動というものの存在を意識させられた。
村上龍。
凄い人だ。
〜印象に残った言葉〜
・会ったこともないような奴らがよってたかって俺達に勝手なことを言う、そうだ何一つ変わっていない、俺達がコインロッカーで叫び声をあげた時から何も変わっていない、(以下省略)。
・アネモネが免許証を見せ必要な書類にサインしている間、キクはガスボンベの入った鞄をオートバイの荷台に括った。それにしてもあんた達いい色に焼けてるね、サーファーかい? 白いスーツできめてるところを見ると、サーフシティー・ベイビーズだね? 店員が金を数えながらそう聞く。ヘルメットの顎紐を締めて、いや違う、とキクは言った。
俺達は、コインロッカー・ベイビーズだ。