麦の海に沈む果実 / 恩田陸


ラストがまさか……



 恩田陸さんの小説は初めて読んだが、なんて不思議な話を書く人なんだろう。

 ラストがびっくり。
 夢オチではないのに、まるで夢オチかのような衝撃を受けた。
 悲しくて、残酷な結末だった。
 ありゃ、読者に対して残酷だ。
 圧倒的な読後感から、しばらくは放心状態になってしまった。

 設定が凝っている。
 全寮制の学園が舞台なのだが、その学園が実に奇妙で、描写が面白い。
 その設定もうまく活かされたストーリーになっている。

 そして、キャラクターがめちゃめちゃいい。
 理瀬、黎二、ヨハン、聖、憂理、校長。
 誰か一人でも十分に主役を張れる。
 贅沢なキャストだ。



恩田陸作品人気投票

恩田陸作品キャラクター人気投票改



 上記結果からも、この作品の人気の高さが伺える。
 作品人気投票では、2位の『夜のピクニック』にダブルスコア以上の差をつけている。
 キャラクターでは、黎二、ヨハン、理瀬がトップ3を独占し、聖と憂理も上位で、校長と麗子もランクイン。

 黎二の人気は分かるなぁ。
 ぶっきらぼうで、正義感があって、強い奴や偉そうにしている奴に立ち向かっていく。
 読書が好きで、ダンスが上手で、無駄な動きがなく、何でも器用にこなす。
 そして、本当は優しくて、心遣いが濃やかで、育ちがいい。
 少女漫画のヒーローかい。
 活字だから、嫌味がなくて更に好感度が増している。

 ヨハンもいいねぇ。
 天才音楽家、天才作曲家。
 誰からも好かれ、多くの人を虜にする天使の顔と性格を持ち、人の気持ちをたやすく見抜く。
 博学で、ダンスが上手で、才能があり、頭がいい。
 そして、裏の素顔は……。



 恩田陸さんは名前から男性と誤解されそうだが、実は女性。
 男性だか女性だか分からないペンネームにしたかったらしい。

 先日、3回目の直木賞候補となった『きのうの世界』は、惜しくも受賞ならず。
 しかし、この方ならいずれとるでしょう。