伝説の灘校教師が教える 一生役立つ学ぶ力 / 橋本武
橋本武『伝説の灘校教師が教える 一生役立つ学ぶ力』を読了。
著者の橋本さんは、明治45年生まれ、今年7月で100歳。
灘高一筋50年、人生100年。
教科書を使わず、小説『銀の匙(さじ)』1冊を3年間読み込む独特な授業方法をとり、後に「スローリーディング」と銘打たれた、伝説の国語教師。
灘校を私学初の東大合格者日本一に導いた人物として知られ、今もなお、カルチャースクールで現役講師として活躍されている。
目からウロコの1冊だった。
先生の長きにわたる授業風景が目に浮かぶようだ。
そこで語られているのは、決して堅苦しさはなく、古臭さもなく、押しつけがましさもない。
この先生の授業を受けた生徒は幸せだなぁ。
国語教師らしく、章ごとにポイントもまとめているので分かりやすい。
「学ぶことは遊ぶこと、遊ぶことは学ぶこと」と先生は語る。
「遊ぶ」ことは誰もが自ら参加することだ。
「学ぶ」ことを「遊ぶ」という気持ちに切り替えられれば、子供たちは進んで「学ぶ」ことに参加するようになる。
大人は子供が自然にそう思ってくれるような方向に導かなければならない。
「学ぶ」ことは楽しければ、時に意味がなくてもいい。
すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる。
もっと横道にそれてみよう。
昨今は英語教育が注目されているが、国語力は人間関係の基本であり、すべての学問の基礎。
国語力を鍛えることで、他の語学や理数系教科などへの理解度もグンとアップする。
たくさんの本を読むことにより、人生が豊かになる。
最初は分からなくても構わない。
解釈よりも、まずは読む、覚える、楽しむ。
後で役立つときが必ずくる。
読むだけでなく、書くことも大事。
国語力は読むことと書くことがセット。
文章はうまい下手よりも、気持ちが大切。
書いて、書いて、書きまくれば、文章作法が自然と身につく。
このとき、親はあれこれ口出ししないこと。
できれば、子供が読んでいるのと同じ本を読み、子供の文章は、褒めるべき点はきちっと褒める。
先生曰く、若い時分には、詰め込み教育も必要と。
ただし、受験のための詰め込み教育は問題外で、ここでいうのは「教養の詰め込み」。
多感な若いときに受けた刺激、体験した面白さは一生の糧になる。
それにより、人生の方々で待ち受ける難問にぶち当たったとき、必ず役に立つ。
これは、受験という近視的な目標よりも、ずっと大事なこと。
先生の心のメッセージが伝わる、とても温かい1冊だった。