掌
掌をじっと見る。
俺には手相というものが分からない。だから、別にこうして見ていたって、そこに隠された意味など読み取れやしない。
けれども、この手の曲線になんらかの意味はあるのだろうと思っている。
手相というのは、一つの統計学と聞いた。数え切れないほどの手相と、その人のデータを元に割り出された傾向か。なぜだか知らないが、統計学と言われると当たっている気がしてしまう。
確かに不思議だ。顔にも手足にも体にも、こんな模様のようなものはない。
掌の模様を見る。意味が出てくるわけでもないのに。
将来を考えると不安で、今やるべきことを考えると気が重くなり、逃げ出すと後悔する。
何やってんだ、俺は。
掌の意味を読み取り、自分がすべきことはこれだって分かったなら苦労しないんだろうか。
いや、逆に空しくなりそうだ。
それ以前に、そんなことを考えて、楽な道を探す自分は駄目だな。
分かっている。頭では分かっている。しかし、なぜ行動に移せないんだろう。
嫌だ、嫌だと逃げてばかりで今日に到った。
なんとなく高校、大学へ行き、なんとなく就職するのか。
それが分かっているなら、なぜ努力しないんだ、俺は。
甘えだ。
変わりたい。いつまでもこんな自分でいるのはやめよう。
掌を握りしめ、重い腰を上げた。
立ち上がると、思ったよりも陽射しが強いことに気づいた。今日もいい天気だ。